//映画 2.//最高の人生の見つけ方 The BUCKET LIST/南仏の夕暮れにキャビア×シャンパン
余命半年を宣告されたおじさまたちが、明るく人生を生き切るコメディ、
『The BUCKET LIST』。
邦訳は『最高の人生の見つけ方』。
死を間近にし出会った友人同士は、
お互いそれぞれ問題を抱えているもののあっけらかんと余生を楽しみます。
死をテーマにしながらも、陰気にならないこの作品。
その中から二人がお酒にご飯を楽しむシーンをひとつ見つけましたので、
一緒に味わってみましょう。
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ところで、
あなたが人生の最後に食べたいものはなんでしょうか?
1.Prologue あらすじ
勤勉実直な自動車整備工のカーター・チェンバーズと、大金持ちの豪腕実業家エドワード・コール。出会うはずのない二人が、人生の最後に病院の一室で出会った。
家族のために自分の夢を犠牲にして働いてきたカーター、そして、お金だけは腐るほどあるものの見舞い客は秘書だけというエドワード。お互いに人生の期限を言い渡されたという以外、共通点は何もない。
そんな二人を結びつけたのは、一枚のリスト――棺おけに入る前にやっておきたいことを書き出した “バケット(棺おけ)・リスト”だった。
「荘厳な景色を見る」「赤の他人に親切にする」「涙が出るほど笑う」……と、カーターは書いた。
「スカイダイビングをする」「ライオン狩りに行く」「世界一の美女にキスをする」……と、エドワードが付け加えた!
そうして始まった二人の生涯最後の冒険旅行。人生でやり残したことを叶えるために。棺おけに後悔を持ち込まないために。そして、最高の人生だったと心の底から微笑むために。
残された時間は6か月。でも、まだ決して遅くない――!
エドワード・コール役をジャック・ニコルソンが、カーター・チェンバーズ役をモーガン・フリーマンが演じる。
2.Scene 南仏の夕暮れにキャビア×シャンパン
前述の通り、余命半年を宣告されたおじさまお二人は(二人は同じ病室で出会った)、
延命治療をせず、家族の反対も押し除け、退院。
死ぬ前にやりたいことリスト(Bucket list)をもとに世界を飛び回り、
さまざまなアクティビティを楽しみます。
VIPでゴージャスな実業家エドワードの自家用ジェットでアメリカを飛び立ち、
到着したのは南フランス。
コミカルな南の音楽とともにおしゃれな街並みが映し出されたのち、
シーンは二人の、夕暮れどきの会食へ。
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「キャビアのとり方を知っているかい?(You know how they harvest caviar?)」と、
カーター。
間髪入れず、
「教えてくれ(Hit me.)」とエドワードが応える。
カーターは話しだす。
手にはキャビアが乗ったブリニ(ロシア風の小さなパンケーキ)。
「漁師はメスのチョウザメを捕まえたら、 漁師は細心の注意をはらってチョウザメが心安らかに死ぬのを見守る(When a female sturgeon is caught...the fisherman has to take great care to see she dies peacefully.)」
ふむふむ、とエドワード。手には、こちらもチョウザメの卵を乗せたブリニ。
「少しでも脅すと卵を台無しにする酸を出す(If she feels the least bit threatened...she secretes a sour chemical that ruins the eggs.)」
と、カーター。
エドワードは、
「まるで俺の3番目の女房みたいだな(Sounds like my third wife.)」と、
キャビアを口に運び、咀嚼しながら頷く。
カーターは笑う。そしてシャンパングラスに手を取る。
ここでもういっちょ、
「マヨネーズは樹液だと言ってた(Woman thought mayonnaise came from a plant.)」とエドワード。
カーターは笑いながら、シャンパンにひとくち。
「止まらんな(I could get used to this.)」とカーター。
すかさず、
「それも3番目が言ってた(Also sounds like my third wife.)」とエドワード。
カーターはうんうん、頷き微笑む。
エドワードはシャンパンをひとくち飲む。
そして視線を外の景色へ移す。
カメラもエドワードの視線を追って窓の外へ。
シーンは夕焼けに染まるコート・ダジュールの海を捉える。
橙色から薄紫、そして深い紺色に。
暮れゆく空と穏やかな海のコントラストが美しいカット。
エドワードは、
「ここは30年通ってるが、男連れは初めてだ(Thirty years I've been coming here. First time with a guy.)」
と一言。
「おや、光栄だね(Well, I'm flattered.)」と、カーター。
カーターは手を広げ、いかにも光栄だというような仕草をする。
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1分か2分ほどのこのシーン。
終始リズムがいい。
エドワードの性格もよく出ている。
人懐っこく、ユーモア。少々ナルシスト。
そして、キャビア×シャンパンのシーンは、このあと更なる展開を見せることになる。
が、この記事では食事のシーンまで。
3.Epilogue ところで
私は学生の頃にいっとき、オーベルジュで住み込みで働いていて、
キャビアと一緒に小さなパンケーキを出していました。
サワークリームなんかも添えて。
キャビアのしょっぱさとサワークリームのまろやかさ。
ふわっとしたパンケーキに両方をのせ口へ入れると、
なんとも調和の取れた味わいになるのです。
懐かしい。
そして、キャビアといえばシャンパンですよね。
劇中の二人は、細長く美しいラッパ型のシャンパングラスを片手に、
過ぎゆく1日を思い、キャビアを乗せたパンケーキを頬張っています。
それはそれは、カーターのいう通り"I could get used to this."、
やめられないとまらない〜状態でしょうね。いいなぁ。
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それにしてもモーガン・フリーマンの、ブラウン調のおしゃれなスーツ。
彼にとてもよく似合っていますよね。
シルクの、ブラウンのネクタイもまた渋くていい。
4.End まとめ
最後に、このディナーの舞台になった、
南フランスのヴィルフランシュ・シュル・メールについて。
海外旅行もなかなかできないことだし、名作の舞台を下調べしておいて、
アフター・コロナの楽しみとしておきましょう。
さてここからは、ヴィルフランシュ=シュル=メール - Wikipediaより引用です。
*()は私の勝手なコメントです。
ヴィルフランシュ=シュル=メールは、ニースのおよそ6km東にあり、
モン・ボロン、モンタルバン、モン・ヴィネグリエらの山地に遮られている。
湾は地中海にある港湾の中でも、有数の深さがある天然港である(近代に入ってからは技術の著しい向上によって、天然の地形に恵まれない場所でも大規模な港が造られるようになりました。ヴィルフランシュは天然港ということで、歴史ある港でもあります)。
ニース岬とフェラ岬の間は水深95mに達し、大型船舶の安全な停泊地を提供している(水深が深いということは大きな客船も泊まれるということで、古くから観光業も栄えているのも頷けます)。
ヴィルフランシュ市街は、湾を囲む丘陵へ向かって伸びる。
ヴィルフランシュの街は地中海を見下ろすテラスのような丘の上にある。
旧市街は、曲がりくねった石畳の小路と、自動車の乗り入れが制限された路地とで込み入った迷宮のようである。
そこにプロムナード・ド・マリニエール(船乗りの遊歩道)が湾の北側を仕切る海岸通り沿いに伸びる。
どっしりとした壁で覆われた砦は海へせり出した一画にあり、1557年にサヴォイア公エマヌエーレ・フィリベルトによって建設された。
いつか行ってみたい。
それでは。